なぜジビエ料理が話題に?
本日の勉強はなぜジビエ料理が話題になっているか?についてです。
広がる野生鳥獣被害
日本は国土の2/3が森林です。こんなに森林が多い国はあんまりなくて世界有数の森林大国らしいです。*1
この森林には様々な動物が住んでいます。生態系の調和が取れているときは問題がなかったのですが、近年鳥獣が増えすぎて、貴重な植物を食べてしまったり、山から里に降りて来て農作物を食べてしまったりする被害が増えて来ています。その被害額は年間で200億円にもなるそうです。*2
なぜそんなに野生動物が増えているのか?
野生動物が増えている理由として、この論文では3つの理由をあげています。*3
①天敵が減ったこと
・1950年(昭25)以降のメスジカ狩猟禁止
・狩猟者の減少
②餌が増えたこと
・拡大造林による皆伐で下草等が一時期増大
・木炭から石油への燃料革命による林産物採取の 減少とハゲ山の復旧により下草等が増大
③ 暖冬による小雪傾向・冬期の死亡率が減少
鹿は戦争中や戦後は乱獲が行われて個体数が激減したので、雌鹿は捕獲したらダメって法律ができたらしいです。その後数10年経って、個体数も増えたし、日本人の生活習慣も変わって、木を使わなくなって餌が増えて、どんどん個体数が増えてしまったたようです。
また猟師の減少、高齢化も原因の一つになりそうです。下の図を見ると年々減少して、ほとんどが60歳以上になっていることがわかります。
鳥獣被害対策でジビエが脚光を浴び出した
このままでは農作物にも被害が及ぶし、山の貴重な植物がなくなってしまう。このような危機感を持った関係者がたくさんいるようです。国や地方自治体が鳥獣駆除対策を打ち出しています。例えば環境省のこんな資料とか。*4
超簡単にいうと、鳥獣被害が拡大してるから鳥獣被害対策特措法って法律を作って食い止めようぜ。予算つけるから、猟師増やしたり、とった鳥獣の肉を加工する設備とか充実させて、鳥獣の狩猟して、肉を加工して販売するって流れを作って、鳥獣駆除を活性化しようぜ、ってことみたいです。
このおかげで日本各地で、駆除された鳥獣の食肉加工施設ができて、ここで作られた美味しい肉を消費者が買うことができるようになったようです。
私の住む信州でも信州ジビエ研究会という組織があって、ジビエを振興しようとしています。
ジビエを普及させる意義
現在、 捕獲した鳥獣のほとんどは埋没か焼却して処理されて降り、食肉に利用されるのは5%程度らしいです。ほとんど捨てられているわけですね。美味しいのにもったいない!
農林水産省では2019年までに食肉利用率を30%まで引き上げようとしているそうです。
食肉利用率が上がると、猟師さんの収入が増えるので猟師さんのモチベーションが上がります。新規に猟師になりたいって人も出てくるかもしれません。*5
そういえば漫画の銀の匙で、ジビエが流行ってるので猟師に転職した先生がいましたね。
また、ジビエが流行ると地域振興に繋がります。地元の山で採れた美味しいジビエ肉で街おこしをしようとしているところもたくさんあります。
日本の資源である森林。その森林から取れる野生動物。これが捨てられてしまうのは勿体無いので、ぜひジビエが普及してみんながハッピーになれる仕組みができるといいと思います。
ジビエ普及に対する反論
一方、ジビエ普及に懐疑的な意見もありますので紹介しておきます。
この文章の筆者は、鹿肉を牛肉と同じ土俵で比較することを前提としていますので、その前提ならその通りだと思います。
しかし、野生の鹿肉は家畜化された牛とは全く違うものです。食べている餌も違いますし、運動量も違いますし、肉の栄養価も違いますので、家畜と同列に比較する前提が間違っている気がします。狩猟肉を食べるという価値をどこまで訴求できるかが、ジビエ料理の普及の鍵だと思います。
次は実際どんな料理があるのかを調べてみます!